2019.10.19 川崎戦△(2-2)前編:主導権手放すビルドアップ

戦術分析

なんとか引き分けでした。危ないシーンもたくさん。ヒヤヒヤの現地観戦していたitiikiです。

嫁なんか「今年は私が行ったらアカンわ」って途中嘆いていました(今季2勝2分3敗→3分に)。

でも、倉田の執念のゴールでなんとか勝ち点1をもぎ取ることができました。残留に向けて大きな1ポイントです。今季は何度彼の名をスタジアムで叫んだか。容体が非常に心配です。簡単に倉田の代わりが務まるとは思いませんが、代役の高江・スサエタあたりに期待したいところです。

トップ画像の男前な倉田の写真はMr. GAMBA(ガンバ写真部員)さんからご提供いただきました。快く承諾くださり、ありがとうございます。この写真以外にも素敵な写真がいっぱいですので、みなさまぜひご覧ください。

本当に頼もしいガンバの10番ですね。

 

さて、今節の記事は2つに分けてお送りしたいと思います。前編となる本稿では、ガンバのビルドアップの課題に焦点を当てて取り上げます。後編ではガンバファンが気持ちよくなれる記事、具体的にいうと小野瀬・スサエタのFWとしての役割について解説します。前編はどちらかというとネガティブな内容を取り上げることになりますが、後編ではポジティブになりますので、我慢してお付き合いください。

では、まずは今節のスタメンから。

ガンバは宇佐美・アデのケガにより、千真・小野瀬の2FWです。これは大方の予想を裏切った反面、期待していた方も多いのではないでしょうか。小野瀬の能力を考えれば十分FWはこなせるし、それ以上の役割も期待できます。それは後編にまとめるとしましょう。

小野瀬が抜けた右WBには福田が、左WBには藤春が入りました。左サイドに関しては、藤春が元から左SBで馴れた動きをみせるのに対し、右WBの福田には不足が目立ちました。馴れないポジションサイドで連携が不足しているのと、クロスを上げきれない個人の資質の不足です。でも課題が明確に見えるというのは、彼が果敢にチャレンジに行っている裏返しでもあります。臆せずに長所を伸ばしていってほしいと思います。

川崎に関しては、大島がボランチに復帰しましたね。彼は卓越したプレービジョンを持っているので復帰してほしくない選手でした。最前線のワントップではレアンドロ・ダミアンを起用してきました。小林が起用されたとしても嫌ですが、ダミアンに1G1Aを許したことを考えると、この試合では彼のフィジカル的な優位性が活かされた(ガンバはそれに負けた)試合でもあると思います。

 

ビルドアップの形

フォーメーションは上記のとおりですが、川崎の守備時のプレスの掛け方は2-4-4でした。ガンバはビルドアップの時点で、川崎のプレスに苦しんでいた印象があります。まずはガンバ自陣でのビルドアップの形をみてみましょう。今回はいろいろな要素を一枚にまとめてみました。

自陣でボールを奪い、GK東口に戻したときの仮定です。ボールを受けやすくするため三浦・ヨングォンの両CBは外に開きます。このとき高尾はさらに右外・前目の位置に。両WBも高い位置を取りますが、高尾の位置との関係から、右の福田はFWのラインまで、左の藤春はIHのラインまで上がります。このように左右非対称な形が基本形になっていました。

このときのGk東口の選択肢は、大きく分けて下の2つ。

① 外に開いた両CBにパスを繋ぐ

② 前線にロングボールを放り込む(弧を描いた矢印)

本当はここに「③ アンカーの矢島を経由して攻撃を展開」を選択肢に入れたいところですが、相手トップ下の中村憲剛にマークされているので、矢島にボールを入れることは困難です。さらに相手FWダミアンは、ボールホルダーに対して積極的にプレスを仕掛けに来るので、ボール回しに余裕がない状態。ここから①のパターンを取り、ショートパスを繋いで展開していきたいところですが、前半に関しては他選手のビルドアップに関与する動きが少なく、結局①を取ってもGKに戻して、②のパターンが多かったです。

②のパターンは相手のプレスをかわすため苦し紛れに放り込むので、結局セカンドボールを拾われて相手の攻撃が続いてしまいます。良くないときのガンバはこれが非常に多い。そうやってどんどん相手に主導権を握られちゃうんですよね。せめて両CBにパスを繋いで、そこから意図を持って前に繋いでいきたいところです。

ちなみに後半、川崎はボランチの守田に代えて田中碧を投入し、大島と田中の縦関係の位置でプレスを掛けて来るようになったので、ガンバはさらに慌てさせられていました。それをかわして、大島の空けたスペースにIHやFWが入って繋げることができれば、逆にチャンスを生み出せるのですが。結果は②のパターンか、前に運んでもプレスをかけられてボールロスト。1失点目は前にいた大島に押し込まれています。

前線2枚のダミアンと中村がプレスを仕掛け、大島と田中の巧みなポジショニングでボールの出しどころをカバーされていました。特に田中の動きが効いていましたね。パスの受け手・出しどころ・ボールの奪いどころと一人で何役もこなせるので、後半の2失点目ぐらいまでは流れを完全に持っていかれていました。

 

ビルドアップの展望

ではどうすればよいのか。主に以下の2点が考えられます。

① 相手SBの裏を狙う。

② ポジションの入れ替えで相手プレスをかわす

①のイメージはこんなかんじです。

これは今節何度かみられたパターンです。川崎は前からプレスで嵌めに来るので、ショートパスをカットされるリスクを避けて、一気に相手の裏を狙おうという形。このときWBは一列下がると、相手SBを釣り出せるのでより効果的です。さらにいうと、4バックに戻す前はこの形で右WB小野瀬のクオリティを生かすため、よくやっていたパターンでもあります。そのときはもっと左サイドでボールを回して相手を引き付けてから、一気に逆サイドの小野瀬にボールを入れる形でした。(オーバーロードとアイソレーションというやつですが、話が難しくなるのでまた別の機会に解説します。気になる人はググってください)

この狙い自体は良かったのですが、今節はロングボールの精度を欠いていました。繋がっても処理しにくいので、そこでまごついて後ろに戻してしまうか、相手に奪われるケースが多発。そのためことごとく主導権(ポゼッション)を失っていました。上手く繋がっても、福田がドリブルチャレンジ失敗でチャンスを逸することも。小野瀬ならほぼ確実に相手をかわしてクロスまで持ち込むか、インナーラップしてきた高尾を活用することができていたのですが。慣れないサイドでの起用ということもありますが、ここはまだまだ福田の伸び代ですね。

② ポジションの入れ替えで相手プレスをかわすは難しいと思いますが、川崎のようなプレスを積極的にかけてくるチームだからこそチャレンジしてほしい。できればかなりチャンスが生まれます。が、今回はロングボールに逃げるか、矢島1人がドリブルで相手をかわして持ち運ぶかでしたね…。そこらへんが仕組みとしてチームに組み込まれていなくて、個人のひらめき頼みってかんじがします。

一例を考えてみました。SB裏を狙うのは同じですが、ショートパスで運ぶ方法です。下のケースではアンカー矢島に中村がマークしているので、パスの出しどころが少ないケースです。

やはり活用すべきは高尾です。ガンバの3バックは右にシフトして高尾が高めの位置を取るため、右サイドの人数が多くなります。そのため、右サイドのビルドアップの起点になりますし、高尾の出来次第で試合の行方が変わるといっても過言ではありません。今回は矢島にボールを出しにくい形にされていたので、誰かもう一人が矢島の横に入って、ビルドアップの安定のため人数を増やす必要がありました(それに気づいた小野瀬とスサエタは、下りてきてその役割を担っていました。後編で書きます)。

上のケースでは、高尾を内側に入らせてそのスペースで三浦が受ける→そこから内に入った高尾を経由するか、福田の下りる動きが間に合うならそのまま福田に付ける→井手口を経由して、福田の空けたスペースで小野瀬が受けて攻勢に転じる、という形です。

よく、内側の三浦から外の高尾に付ける→福田が下りてきて受ける、までは行くのですが、そこから展開に行き詰るケースをみかけるので、最初のパス出しの時点で一工夫入れてみました。実際、高尾はこの試合でも、パスを受けたはいいが出しどころがないので、内側にドリブルで持ち運ぶシーンがみられました。他の試合でも、内側に持ち運んでサイドチェンジのロングパスをとおしたりしています。それを最初から内側に動いちゃおうというわけです。いわゆる偽サイドバック的な動きですね。理想論だとは思いますが、ガンバはもっとビルドアップの時点から、ポジションの流動性を高めて仕掛けていった方がいいと考えます。単調なパス回しでは、プレスの激しいチームには負けてしまいます。意外性のある動きをしないと、プレスの狙いどころを定められて餌食になるのがオチです。現在のガンバの3-5-2における、高尾の右CBは特異なポジション・役割を与えられています。ここをもっと上手く活用していってほしい、高尾にはそれを全うできるよう成長していってほしいと思います。

 

本稿ではガンバのビルドアップについて考えました。後編ではみなさんお待ちかねの、新機軸・FW小野瀬を特集します!そして、同じポジションに代わって入ったスサエタの動きについても取り上げます。後編もぜひご覧ください!

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