2019.11.3 湘南戦○(0-3)選手起用の意図を読み解く―FWに何を求めたか?―

戦術分析

勝ちました!!

これで勝ち点は38順位は9位に上昇。降格PO圏の16位湘南との勝ち点差は7に広がりました。残留争いから1歩抜け出した感はありますね。とはいえ、まだまだ油断はできませんので、次節以降もしっかり戦っていきましょう。

今回のトップ画像はメイプル@maple_smile1523さんから拝借しています。メイプルさんありがとうございます!このワチャワチャ感が良いですよね。

 

まずはスタメンの確認。予想通り湘南は3-4-3で来ました。それに対し、ガンバのフォーメーションは変わらず3-5-2でしたが、選手起用には変化がありました。

ガンバは高尾に代えて菅沼を起用。アンカーには遠藤が入り、矢島が一列上げて左IHに入りました。2FWは故障から復帰のアデ・宇佐美です。左WBは藤春でした。福田がメンバー外なのは残念です。

一方、湘南もメンバーを変えてきました。特徴的なのはワントップの指宿です。第17節の途中出場以来出番がありませんでしたが、ここにきての抜擢です。身長196cmの長身を生かして、ロングボールの収めどころにしようという意図が読み取れます。あとはガンバがセットプレー弱いこともリサーチされてるんでしょうね。クロスのターゲットにもなってました。

 

今回の記事はタイトルどおり、「なぜこのような選手起用になったのか?その意図を読み解こう」という試みです。特に、FWの2人の選び方について考えてみたいと思います。なぜかというと、一番枚数が揃っている上に、それぞれ個性が異なり、選ぶのが難しいからです。さらには前節、FW起用された小野瀬が素晴らしい働きをみせていたので、なんで小野瀬じゃないんだという意見もあると思いますので。

最初に結論から述べておきます。ぶっちゃけ

攻撃の期待値 > 守備の貢献

が理由です。守備より攻撃を優先したということ。これに尽きると思います。「なぜその結論に至るのか、そこを深く掘り下げて考えてみよう」というテーマ設定です。今回は、今までのようなフォーメーションの図解は行いません。表は出てきますが文字主体です。多分、サッカーについて難しく考えていない方でも、頭に入りやすい・議論しやすい内容だと思いますので、ぜひみなさんも一緒に考えてみてください。僕に賛同する必要はありません。違う見方はいくらでもあると思いますので、それぞれの考え方が整理されるきっかけになれば、これ以上ない幸せです。

それでは、まずは試合の振り返りから入っていきます。ポジティブな点(○)とネガティブな点(×)を挙げてみます。

ポジティブな点

○:宇佐美の鋭さが帰ってきた!4年ぶりとなる1試合2ゴールの活躍!

○:遠藤アンカーの安定感。サッカーIQの高さと絶妙のテンポコントロール。

○:矢島IHのイキイキしたプレーぶり。相手のプレスをかわして前に持ち運び、そのままフィニッシュに絡む動き。

○:ヨングォンのプレスかわす持ち運び。ビルドアップの局面で効きまくり。

○:井手口のダイナミズム。積極的な裏への斜めに走る動き出し。倉田欠如を意識?

○:3CBの右に菅沼をスタメン起用。相手ワントップの指宿への放り込みに対し、守備の安定に一定は寄与(競り負けていることもありましたが)。

ネガティブな点

×:2FWの守備意識。プレスに行く場面はいくつか見られたものの、もっとパスコースを限定する動きを求めたい。

×:裏への抜け出しの少なさ(特に前半)。井手口は積極的に行っていたが…。出し手となる遠藤・矢島が居たので、もっと裏を狙ってよかった。そこで生じるギャップのスペースも活用したい。

×:押し込まれたときの、苦し紛れのロングボール放り込み。拾われて相手ペースが続く時間帯を作られる(特に前半)。

 

こうやって良い面・悪い面両方をピックアップすることで、今回の試合がどのような内容だったか整理されますね。あとは選手の特性も端的に読み取れます。ネガティブな点の方が少ないですが、これはガンバが良かったというよりは、湘南がイマイチだった側面の方が強いかと思います。選手個々のクオリティの問題もありますが、内部のゴタゴタから再起を図ろうという最中であり、やり方も変えていっている途上の段階という印象を受けました。湘南は残留が厳しいですね…。と相手の心配してられる状況ではまだまだありませんが。

それでは本題です。まずはこちらをご覧ください。ガンバが現状起用でき得るFWと、その特性を整理してみました。

選手FWとしてのタイプ・特徴守備の貢献度
宇佐美ボックス内から精度の高く速いシュートでゴールを奪う。ビルドアップ・敵陣内でのパス交換にも積極的に関与できる技術の高さを持ち合わせる。スピードは無いが、ドリブルの技術は高い。低:守備意識は低いが、たまにプレスにいくことも。
アデ足元の技術の高さはピカイチ。シュート精度は難ありだが、たまに難しいゴールを決める。一瞬のひらめき・創造性を持っており、周りとの連携が噛み合えば最高の働きをみせるが、周囲の理解が低いと独り善がりになる恐れも。スピードが速く、縦への推進力に優れる。低:守備意識は低い。気分で守備をしている感じがする。
パト典型的なオフザボールで勝負するタイプのFW。身体能力を生かした強烈なヘディング、スピードを生かした裏への抜け出しが魅力。ロングボールやこぼれ球にも競り勝てるので一定の基準点になれる。低:守備意識は低いが、ハイボールでの競り合いで守備面の貢献あり。
渡邉ボールを収める技術に優れる。カウンターの起点、クリアボールの収めどころになれる。スピードは無いが、シュート技術が高く、ヘディングも上手い。FWとしては一番バランスが取れているかも?高:献身的に前からプレスに行く。苦し紛れのクリアボールでも収めてくれるので守備陣としては助かる。
スサエタ未知数な部分が多いが、器用さでは一番。スペースへの抜け出し、味方へのスペース供給ができる。視野が広く、ボールを扱う技術が高い。純粋なFWではなく、セカンドトップ以下のポジションに適性。いまだチームでは役割が定まっていないのが勿体ない。中:カバー範囲が広く、積極的に守備にも動いてくれる。守備力自体は高くない。
小野瀬新たな可能性。スペースを見つける能力に秀で、攻守ともに運動量で貢献できる。前のポジションならどこでも適用できる(と思わせる)器用さ、賢さが魅力。スピードがあり、一対一を制する足元の巧さもある。FWとしてのフィジカルの強さはない。高:豊富な運動量で前からプレスに行く。WBを担ったことで、守備力にも改善がみられる。

※現フォーメーション下で2FWとして起用が想定される選手のみ取り上げています。また、過去のプレースタイルは参考にしていません。あくまで今シーズンの出来栄えから判断しています。

完全に主観で判断しています。この選手はもっとこうだろという意見があればどしどしお寄せください。むしろそういう議論になればいいと思っています。

みなさんなら上記の6人から誰を選ぶでしょうか?僕なら私なら…というのは一旦置いておきましょう。なぜなら、今回のテーマは「vs湘南で、なぜこの選手起用に至ったか」だからです。それにはまず、相手のプレーを想定するところから始めなければなりません。そして、その上でガンバは何をしたかったのか、どう攻略しようと考えていたのか、そして選手に期待するものは何だったのか。ここらへんの内容は試合を観戦した方、そしてここまで読み進めていただいた方なら、大まかな内容は把握できているはず。双方のチームが何を志向していたのか、試合から受けた印象(前節までの試合も含む)を簡単にまとめてみます。

湘南の想定プレー志向対応するガンバの想定プレー志向
ロングボールで縦に早く展開したい!3CBの強度ではね返そう。どうせ蹴ってくるから、それほど前からのプレスは必要ないでしょ。
前からのプレスでボール奪うぞ!後ろで相手をかわして空いたスペースに人とボールを持ち運ぼう。
守備時は人数かけて、前にパス入ってもつぶすぞ!プレスに来られてもパスワークで翻弄だ。
えらくざっくりですが、的は外してないはず。ではこれをふまえて、上記の選手特性と照らし合わせながら、今回の選手起用の意図を考えてみます。なぜ守備力の低いFW2人を起用したのでしょうか?
①の想定に関して、守備面でいうとCB菅沼の起用がその対応策ですね。単純に守備強度を高めたかったのが一つ、もう一つはCBを攻撃参加させた場合(要は高尾のタスク)に、ロングボールでその裏を取られるリスクを避けたかったと考えます。さらに、①のプレー志向により、FWにはそれほど守備のタスクは必要ない(あるいは無くてもなんとかなる)と考えたのではないでしょうか。実際のところは湘南がボール保持も志向しようとしていたので、結果論として、FWにも守備のタスクは必要だったとは思いますが…。
②の想定に関しては、アンカー遠藤の起用に象徴されます。やはりボール捌きの安定感は当代随一ですね。高江の選択肢もあったと思いますが、前から果敢に来る相手に対し、的確なポジショニングと合わせて遠藤の起用は正解だったと思います。IHの矢島とともに、時間があれば別記事で取り上げたいです。MOMは宇佐美になると思いますが、影のMOMは遠藤と矢島の2人だった思う働きぶりでした。
③の想定が一番FWの起用に関わります。湘南は3CB+2WBの最終ライン5枚と、中盤は2ボランチと時には2シャドーが下りてきて守備に加わります。守備基準はゾーンよりも「人」、厳密にはボールホルダーなので、人数をかけて奪いに来ます。FWにはその密度とプレッシャーの中で、パスワークでかわしてボールを持ち運び、シュートまで持ち込める選手が必要です。そういう意味で、アデと宇佐美は適任だと考えます。アデに関しては狭いところでも一瞬のひらめき(たとえばヒールパスとか)で相手を崩せます。宇佐美も足元が上手いので周りと連携できますし、アデのプレービジョンにもついていける選手です。
この③が結局のところ、今回のFW選手起用の一番の理由でしょうね。攻撃の展開でロングボールの放り込みを良しとしない。ロングボール蹴っちゃうなら、パトや千真の方が起点になれるので向いてます。実際、湘南は長身のCF指宿にそのタスクを与えていたわけです。そうではなくて、しっかりショートに繋いで、サイドでも中央でも突破を図る。守備組織の固い相手には通じない場合もありますが、こと「人」に食いつく湘南に対しては有効な攻め方ですし、実際そこの起用は当たっていたと思います。
でも、守備面ではどうなんだ、守備をしないFWでいいのかって意見があると思います。僕も①で書いた通り、FWの守備タスクは大なり小なり必要な試合だった思いますし、今後もガンバが安定して上位に居座るチームになるためには必要だと思います。ただし、今回の試合に限っていえば、この起用でも間違いではなかった。それは結果だけを観て言っているのではなく、相手のプレー志向を考えた時に、自分たちのチームのどこを重要だと考え、何を優先したかが理由になります。先に結論を書いた通り、
攻撃の期待値 > 守備の貢献
ってことなんだと思います。これで結果が出てなかったら批判の的になってしまうのですが、特に今回の宇佐美の出来をみせられてしまうと、間違いだったとは言えないですよね。そこがFW起用の難しさだと思います。どんな内容でも、FWが点取って勝てば官軍なんです。ヒーローになってしまうんです。稀代の戦術家、ペップ・グアルディオラですら、攻撃の局面において「戦術の役割は彼ら(前線のFW)にボールを送り届けるところで終わりだ」と述べています。つまり、選手の持てる能力・才能によって、最終の局面は打開されるものだということです。実際それ(最終局面の打開=ゴール)が期待できる状態にあり、かつその試合のプレー志向に合致するのであれば、監督はそのFWを起用する。今回はそれが結論でしょう。
一方で、やっぱり小野瀬・スサエタを使わないのかという疑念は残ります。が、小野瀬に関してはWBとして替えが効かないってことが理由でしょうね。正直、選考外を残念に思いながらも、前節の右WB福田は十分な働きをみせたとは言い難いと感じます。現在の3-5-2のフォーメーションでは、サイドの選手が1枚な分、WBでつまづくと攻撃が手詰まりになってしまいます。その点、小野瀬は安心して任せられます。ツネ監督は本当小野瀬を買ってますよ。僕も大好きですが。
スサエタに関しては、試合前の監督コメントにあったように、3-5-2のどのポジションにも慣れていないというのが理由でしょう。様々な役割を期待できる選手ではありますが、監督の考えるベースとなる枠組みから、良い意味で逸脱している選手なのかと思います。遠藤がピッチ上の「静」の監督だとすれば、スサエタは「動」の監督だとかんじます。その「動」の部分をチーム戦術に落とし込めていないんでしょうね。非常に勿体ない話ではありますが。毎回言ってますが、上手く起用してほしいです…。

さて、長くなってしまいました。なんやかんやごちゃごちゃ考えてきましたが、結局サポーターとしては「点取って勝てればオールオーケーよ!」に尽きます。そういっちゃうと身も蓋もないですが…。でも気持ちの奥深い部分では、勝ったことの安心が一番強いですよね。
残留争いはまだ油断なりません。次節の大分トリニータ戦に向けて、勝利の余韻はリセットして臨みましょう!

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