2019.11.23 仙台戦○(2-0)残留確定は通過点、まだまだ成長していきます

戦術分析

こんにちは。itiikiです。

土曜日の仙台戦、結果はタイトルどおり!勝利で残留確定です!!

とりあえず残留確定に乾杯!

同日で一番遅い開始のため、ハーフタイム時点で他会場の結果から、両チームとも残留が確定していましたが、気持ちを切らすことなく後半の2得点で勝利しました。ただし試合後の選手コメントにもあるように、残留は目標ではなく通過点に過ぎません。来季に向けて残り2試合の質を高めていってほしいと思います。

それでは、まずはこの試合のスタメンと、ハイライトをダイジェストで確認します。

スターティングメンバ―

ガンバはおなじみの3-5-2、仙台も予想どおり4-4-2で来ました。両チームとも前節からスタメンに変更はありません。

ハイライト

・前半、DFライン裏のスペースで危険な場面を作られるものの、東口のナイス判断&セーブで無失点。試合の分け目に。

・やっぱりおれたちの貴史!怪我の欠場除いてリーグ4戦連続ゴール!

・アデらしいループシュート!チーム内単独トップの8ゴール目!

・日本代表ボールハンター井手口。ここにもそこにもあそこにも井手口。

・おかえり倉田!復帰初戦も運動量は健在。

といったところ。勝った試合は何回みてもいいものなので動画を貼っときます。

今節は「事前に自分たちが狙いとして準備してきたことを、ピッチ上で表現できた」、そんな試合だったと思います。

そこで今回は、狙いどおり表現できた以下の3点を取り上げて解説していきます。

  1. WBを活用したサイド(チェンジ)攻撃―クロッサー小野瀬とフィニッシャー藤春
  2. ボールロスト時の即時奪回・「相手より一歩先んじる」守備
  3. 安定してきたビルドアップ

それでは順番にいきましょう。

WBを活用したサイド(チェンジ)攻撃―クロッサー小野瀬とフィニッシャー藤春

「逆サイドのスペース、特に右の小野瀬が鍵になる」。マッチプレビューで触れていたことです。予言的中です。やったぜ。マッチプレビューは下のとおりです。今回の記事の前提となる、仙台に関する予備知識を書いていますので、こちらもぜひ読んでおいてください。

【マッチプレビュー】2019.11.23 第32節 ガンバ大阪vsベガルタ仙台
第32節 ベガルタ仙台戦のマッチプレビューをお届けします。お互い勝てば自力で残留が決まる運命の一戦。一か月以上ぶりのホーム戦で、見事勝利で残留を決められるのか?いや決めるしかない!今回はベガルタ仙台の特徴と注目選手を取り上げました。

なんとこの試合、小野瀬のクロス数は前半8本、後半9本の計17本です。何本放り込んどんねん。ガンバはそれだけ右の小野瀬を活用する意識・形を準備してきたということです。そして、そのクロスの目的地はどこか。それもハッキリしていました。ファーサイドです。より具体的にいうと、そこに走り込む左IH矢島、左WB藤春です。これも数字に表れていて、矢島のシュート数が3本、藤春のシュート数がなんと4本です(公式は3本ですが、独自にカウントしています)。もはやFWですね。だからフィニッシャー藤春なんです。残念ながら得点には至りませんでしたが、狙っている形がハッキリと見て取れました。小野瀬のクロスの質は十分なので、あとはシュート精度です。向上すればこのパターンから得点が増えてくるはずです。

ここで大切な観点が2つあって、1つが「なぜ小野瀬はそんなにもクロスを上げることができたのか?」ということ、もう1つが「なぜクロスはファーサイドを狙ったのか?」ということです。この2点について図で解説します。まずは前者について。

プレビューで使用した画像を流用しました。狙い目の①相手の注意・守備ブロックを左に引き付けるところは一緒です。ここから次の画像。

プレビューとの違いは、宇佐美がサイドチェンジの出し手になっていることです。これには理由があり、1つは宇佐美のキック精度を生かすこと、もう1つは相手に混乱を生むことです。宇佐美が内側から外に下りる動きをすることで空けたスペースにアデが入り、矢島は宇佐美に押し出される形かつアデが空けたスペースに上がる。こちらのポジションチェンジにより、相手は誰をみるべきか迷い、より注意がボールサイドに注がれます。そこから右でフリーの小野瀬にサイドチェンジ。ここに小野瀬が何本もクロスを上げられた理由があります。仙台の4バックの守り方として、①4バックの横幅はコンパクトに保つ、②そのため一方のサイドに寄ると逆サイドが空く(むしろそこはリスクとして受け入れている)という特徴があります。

ガンバはそれを逆手にとり、小野瀬にスペースを与えた状態でボールを供給するため、左サイドでのボール回しで仙台を引きつけていました。

小野瀬にボールがわたると当然仙台は対応にいくため、今度は守備ブロックを右側にスライドします。そこで狙い目になってくるのが、そのまた逆のファーサイドです。

人間の心理を考えてみてください。一方のサイド(ガンバの左)に意識を集中していたところに、逆サイド(ガンバの右)にボールを振られて今度は真反対側に意識がいきます。しかも守備のポジショニングを調整しながら。そうなるとどうしても自分たちの後ろ側、つまり反対のサイドの注意が薄れてしまうのです。そこに後ろから走り込まれると対処が難しくなる。ここで、守備ブロックの外から走り込んでくる藤春の登場です。

今まで長く左SBを務め、左アウトサイドレーンを圧巻の走力で制圧してきた藤春に対し、ツネ監督はその走力を活用して新境地を開拓させようとしています。それが「フィニッシャー藤春」です。藤春はスプリントもさることながら、初速も早い選手です。止まっていたところから、一瞬でグッと前に来られるとDFとしては対応が難しい。しかも藤春側のサイドの意識が薄れているならなおさらです。これが藤春が4本もシュートを打つことができた、そしてそのポジション取りをさせていた理由です。

それでなおかつ守備にも奔走するわけですから、ほんと鉄人です。走行距離は両チームトップの13.37km、スプリント回数は驚愕の46回です。それだけ走ったのに、守備にもほころびがなかったのはさすがですね。復帰してしばらくは身体が重そうでしたが、完全復活したといっていいでしょう。あとはこのパターンの練習を積み重ねる中で、シュート精度を上げて行ってくれれば完璧です。新境地の開拓に期待しています。

ボールロスト時の即時奪回・「相手より一歩先んじる」守備

要は球際の激しさです。90分を通して高い強度を保っていました。今節無失点でしのげたのは、東口の好セーブと、この球際の激しさによるものです。監督のハーフタイムコメントでも「勝ちたいという気持ちを出して。球際も戦う。」とあるように、選手個人ではなく、チームとして激しく競ることができていました。

ガンバが目指すサッカーとは何でしょうか?いろいろありますが、大きくは1つで、ツネ監督が常々主張している「90分間我々がボールの主導権を握り続けること」だと思います。攻撃は元より、それを実現するためには守備の局面が重要です。極端な話、攻撃時に一切ミスなくボールを繋ぎ切ってゴールできれば理想ですが、ミスは往々にして起きますし、相手も好きにさせまいとボールを奪いにきます。そこで重要なのが、ボールを失ったときにどうするか。その意味で、今節は狙いを持った対応をチームとして実現できていました。

その「狙い」とは、ボールロスト時の即時奪回と「相手より一歩先んじる」こと、つまり相手よりも先にボールに反応することです。これは選手の能力(フィジカルの強さ、背の高さ、瞬発力など)に依る部分はありますが、何より大切なのは気持ちの強さです。「戦術分析」なんてカテゴリーつけて記事上げてるのに、精神論はどうなんだと思われるかもしれませんが、実はこれが一番重要ではないかと思うくらいです。なぜなら、今シーズンを通じて、この「球際で戦う」というの継続してできていなかったのに、今節に限ってはできたのですから。その違いは何か言うと、やはり「絶対に残留する」という強い気持ち、あとは試合後選手コメントにある「残留は通過点」=「上位で優勝争いできていないことへの悔しさ・不甲斐無さ」が気持ちとしてあったと思います。

ただし、気持ちだけでは空回りすることが多々あります。ここで必要になるの戦術なのです。戦術なんていうと小難しく聞こえるので、「(強い)気持ちをぶつける場所・時をチームとして決めること」とでもいいましょうか。「チームとして」というところが重要です。下位に低迷するチームはこのどちらか、あるいは両方が足りないことが多いと思います。両方あっても選手のクオリティが追い付いていないこともありますが、少なくともガンバは選手のクオリティは十分です。なのでこの2つが噛み合えば、今節のような試合を続けることができるでしょう。

さて、前置きが長くなりましたが、この試合で観測することができた具体的な決まり事を挙げながら、一例を図化してみます。


  1. 相手のロングボールに対しては絶対競り合う。相手の好きに触らせない。
  2. その後のこぼれ球へも素早く寄せる。
  3. 奪われた後のリアクションを速く。複数人で奪い返しに行く。無理なら撤退、守備ブロック形成。
  4. 相手ビルドアップ時はFWも積極的に相手ボールホルダーにプレスをかける。中盤も連動してプレス⇒相手がロングボールに逃げたら1に戻る。以下繰り返し。
  5. そのために全体の陣形をコンパクトに保つ。最終ラインは裏の抜け出しを意識しつつも、ロングボール・縦パスには真っ先に食らいつく。とにかく1センチでも相手より先にボールに触る、一瞬でも早くボールに反応する。

ざっくり補足すると、前から連動してプレス⇒ロングボール蹴らせる⇒球際で絶対負けない!というかんじ。縦パスに対しても先にさわってはね返すか、前を向かせない守備ができていたと思います。


前半は気持ちが少し空回りして相手に裏のスペースを許すこともありましたが、徐々に修正し、後半は相手を押し込むことに成功していたと思います。1~4のサイクルを確立できれば、ガンバの目指す「90分間ボールの主導権を握る」ことが可能です。それを下支えするのがチーム全員の強い気持ち、特にアンダーマーカーを引いた部分、つまりタイトルにある「相手より一歩先んじる」ことなのです。特に、仙台は縦に早く展開することを志向するチームであり、カウンターに特徴があります。その対策として、即時奪回⇒カウンターをさせない、相手より一歩先んじる⇒縦に早く来ても展開させない、という対応を準備してきたのだと推測します。

得点シーンに関しては上記のサイクルに当てはまりませんが、1点目は相手のバックパスミスに対し、宇佐美が懸命に取りに戻ったところから始まっています。相手より先に触ってやる!という強い気持ちを感じました。「相手より先んじる」ことが得点にもつながったシーンだと思います。

リーグも終盤にきて、ようやく上記のような積極的な守備ができるようになってきました。これが最初からできていたらもっと上位にいることができたと思います。来季に期待しましょう。

安定してきたビルドアップ

3-5-2を始めた当初から課題となっていたのがビルドアップです。アンカーが1人であるため、そこを封じられると中央を経由したビルドアップができず、サイドからの展開を余儀なくされていました。また、矢島の最適ポジションはどちらかというと前目の位置のようで、後半遠藤をアンカー位置に投入して、矢島をIHに一列上げる交替策がハマっていた時期もありました。矢島は適切なポジショニングを取って淡々とボールを捌くより、自分でボールを受けてアグレッシブに前に行きたいタイプなのでしょう。

しかしここにきて、倉田の負傷離脱もあり、アンカー遠藤・IH矢島で先発起用されるようになると状況に変化が。アンカー遠藤が封じられると、矢島が下りてきてビルドアップに加わるようになりました。これは前節大分戦でもみられた動きです。このときは選手間のアドリブでやっていたのかな?という印象がありましたが、今節は遠藤が封じられるや否や矢島がビルドアップに加わっていたので、チームとして仕込んできているようですね。

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そしてようやく菅沼もビルドアップに加わることができるようになってきました。せっかく左右非対称のビルドアップフォーメーションを採用してるのですから、ここを活用できないと勿体ないですよね。パスこそでませんでしたが、果敢なオーバーラップも。菅沼もこの役割に徐々に慣れてきているようですね。

さらに今節新たにみられたのは、右の小野瀬・井手口のポジションチェンジ。いままで馬鹿正直に「右サイド大外に張るのは小野瀬」でしたが、今節は井手口が右外に張る形がみられました。これの効能は3つ。マークのギャップを生み出す(仙台の選手:あれ、おれどっちみたらいいの?)こと、小野瀬をより内側・かつ高い位置でプレーさせること、そしてその小野瀬にプレースペースを与えることです。

具体的にいうと、相手ボランチと左SHのどちらが井手口をみるのか問題。左SBは小野瀬の監視役でした。

左SHが井手口に行くならその分のスペースが生まれますので、小野瀬が下りてきてビルドアップに関与。ここから右サイドの数的優位な三角形でボールを前に進めていくことができます。

相手が動かないなら、そのまま井手口に展開することが可能。過去の僕の記事を読んでくれているのであれば、小野瀬をより内側でプレーさせることのメリットは分かってもらえると思います。外だけでプレーさせるのは勿体ない選手ですよね。

3-5-2を採用した今季のガンバは、これまでは通り一辺倒・あまりポジションチェンジすることなく陣形を保ったままビルドアップを行っていました。それでは相手のポジションにギャップ・スペースが生まれないので、ただ保持して安全なところ(=相手にとって危険のないところ)にボールをちんたら回しているだけという状況が多々生まれていました。

でも今節のように、ビルドアップにいくつかの変化を加えることで、相手は狙いどころ(ボールの奪いどころ)を定めることが難しくなり、安定してボールを展開していくことができるのです。

井手口がサイドに張る動きにしても、前半だけで3回は確認できました。明らかにビルドアップのパターンを複数通り準備してきていると思います。そして、たとえ相手に詰められても、GK東口から苦し紛れにロングボールを蹴り出すのは極力避けているのが見て取れます。ビルドアップにしても、こちらが主導権を握り続けるための仕組みづくりが進んでいるようですね。喜ばしいことです。

 

まとめ:ガンバの戦術、成長してます。
ということです。1試合の中で、攻守両面で同様のプレーが何回もみられるということは、それをチーム戦術として組み込んでいっているということ。残念ながら足踏みしている期間がとても長かったですが、シーズン終盤にして、ようやく成長の兆しが見えてきています。この流れを来季まで繋げていってほしい。少なくとも今季の残り2試合、気を抜くことなく、今のやり方を洗練していってほしいと思います。特にフィニッシャー藤春、新しい境地をみせてくれることを期待しています。
さて、今季も残り2試合です。残留は決まりましたが、1つでも上の順位を目指しましょう。去年の9位よりも上の7位・8位はまだ狙えます。今週末のホーム最終戦は大勢のサポーターの目の前で、勝利で試合後の挨拶を飾りましょう。僕もその大勢のサポーターの内の1人として、全力応援で後押ししたいと思います!
……残留決まってよかった~~~

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